思い出の品も、離婚をしたら、ただのゴミ。


学校の先生、「傷付けるなよ」 私、「分かってますよ」 私達生徒が運んだのは、新婚の先生が奥さんと使うテーブルセットや玄関に置く靴箱。 先生の奥さんはメッチャ美人で、生徒の私達にも優しかった。 先生、「メシを食ってけよ」 私達生徒、「新婚なのに悪いよ」 生徒、「そうだな、早く帰れ(笑)」 これから10年後、社会人になっていた私は先生に呼ばれた。 私、「御無沙汰してます」 先生、「元気にしてたか?」 私、「はい、お陰様で。先生もお元気そうで」 先生、「・・・」 何かマズイことを言ったかな? 私、「奥さんもお元気ですか?」 先生、「・・・」 マズイことを言ったようだ。 先生、「お前に来てもらったのは頼みがあるんだ」 私、「何ですか?」 先生、「お前、俺の家を知ってるよな?」 私、「はい。奥さんと住まわれている家ですよね?」 先生、「・・・」 どうやら、奥さんの話をすると、先生は返事をしてくれない。 先生、「悪いけど、不用品の処分を手伝ってくれないか?」 私、「良いですけど僕1人ですか? 先生、「他にも声を掛けたのだが、他の奴らは彼女とデートをするから手伝ってくれないんだ」 私、「先生と僕の2人でヤルんですか?」 先生、「他にも助っ人は呼んである」 それを聞いて安堵。 先生のマンションへ行くと、奥さんはいなかった。 助っ人は、粗大ゴミや大型ゴミなどを回収する業者さん。 私と先生がモノを運ぶのに戸惑っていても、業者さんはテンポ良く荷物を運ぶ。 業者さんはテンポが良いだけでなく、回収した大型ゴミをトラックに載せる歳、極力、音がしないよう静かにトラックに載せるのだが、運ぶのが精一杯の私と先生はトラックに載せる際、メッチャ大きな音をさせてしまう。 私、「先生、乱暴に扱うと壊れますよ」 先生、「夫婦の関係は、とっくに壊れてるよ(笑)」 教え子としては、リアクションに困った。 大型ゴミなどの荷物を積んだトラックが走り出すと、私は先生が、どんな表情をしているのか気になったのだが、先生は自棄酒を飲んでいた。


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